遊びスイッチ、どこにある?
2017年12月19日
小学1年生の男の子。最近こどもの森によく遊びに来るようになった彼が、
園内にある遊具によじ登っていた。
どこまでいけるだろう?と探るように、
いろんなところに手や足を伸ばしては、もとにいた場所へ戻る。
やがて、高さ1mくらいのところから勢いよく飛び降りた。
シュタッという感じで両足での着地が決まった。
次の瞬間、彼は顔の前に右肘を曲げて横に構え、左腕は後にし、
かがんでそそくさと遊具の裏へ走って行った。
そう、彼は着地した瞬間から忍者になったのだ!!
私にその一部始終を見られているなんてつゆ知らずの彼は、
その後も遊具の裏でしゃがみ込み、辺りを観察。
また少し移動しテーブルの裏に隠れると、
今度は片膝をついてシュリケンを投げる仕草。
そして、またかがんで走って行った。
着地が決まった瞬間、遊具によじ登る遊びから一変して、
彼の「忍者スイッチ」が入ったようだった。
そうなってしまえば、遊びの世界はどんどん広がっていく。
周りにいる人たちはみんな敵の忍者に見えるかもしれないし、
空を飛んでいるカラスを自分が操っているかのように感じるかもしれない。
自由な遊びの発想が溢れ出し、さっきまで見ていた光景とはすべて違って見えるだろう。
彼が彼の世界を広げだした光景に、私もワクワクした。
忍者グッズも何もないけれど、ただ飛び降りただけだけど、
自由に広がる発想の中で、彼はものすごーく遊んでいた。
おもちゃや遊具を使ったり、目に見える形で何かを作りだしたりしていなくても、
な~んにもないところでこんなに自由に遊んでいる。
何もないからこそ広がる発想だってある。
そして、その発想のきっかけは、ただ飛び降りて、たまたま着地がキマっただけ、だったりするのだ。
子どもたちの一番シンプルな遊びを邪魔せずに見守りたいと、改めて思った。
はる
※こどもりもりvol.17(2017年12月発行)に掲載のコラムを、編集のうえ転載しています。