プロフェッショナル~泥だんごの流儀~

2018年4月26日

暖かくなり、土や水の冷たさが気にならなくなると、
流行り始めるのが「光る泥団子」。
泥を丸めたものに、さらさらの砂をまぶしながら、
布やペットボトルキャップで磨き上げる。
実はこの僕、人生で一度も光る泥団子を作れたことがなく…
今日こそは!とチャレンジしていたある日、
目を輝かせて近づいてきた中学1年生。
「ワシもご一緒しよう」。
彼は、どうやら光る泥団子に並々ならぬ思いがあるようだった。

「これくらいの柔らかさの土を使うとよいぞ」
「水が多すぎると、まとまりが悪くなるからな」
「磨くのに布やペットボトルキャップという話も聞くが、ワシは『手』じゃな」
彼は熱っぽい口調で、自らの流儀を語っていく。
聞くと、幼稚園の時から光る泥団子を作り続けているそう。
長年の経験に裏打ちされたテクニックで、
泥を作り、丸め、丁寧に丁寧に磨き上げていく。

「もっと土の鼓動を感じるのじゃ!集中せい!」
「はい!先生!」
熱血指導を受けること数時間、ただの土だったそれは、
彼と僕の手の中で見事な「宝石」に姿を変えた。
長い時間をかけて、何度も試行錯誤を繰り返し、
自分のこだわりを詰め込んだ、1つの遊び。
彼の場合は、それが「光る泥団子づくり」なのだろう。
額に汗を流しながら、真剣な眼差しで作品を見つめるその横顔は、
さながら「プロフェッショナル」といって差し支えの無いものだった。

春の訪れとともに現れる、様々なプロフェッショナル達。
「雑草研究家」「虫とり名人」「カエルハンター」、
中には「水かけ職人」「落とし穴堀り師」なんていうのも…。
こどもの森で、彼らの流儀をのぞいてみませんか?

しんちゃん

こどもりもりvol.19(2018年4月発行)に掲載のコラムを、編集のうえ転載しています。

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