こどもの森名物“あそび伝染”とは…?

2019年3月20日


ある日、ふらりと来た6年生の男子グループが穴を掘り始めた。その穴はたちまち深くなり、やがて横穴ができ始めた。洞窟のように横に向けて穴を掘り進めたのである。どんどんすごくなっていく穴掘りがよほど面白かったのか、その後も何日も続く。危険のないよう三角コーンを置いたりして、まさに工事現場のようになったその穴は、子どもから大人まで、来園した人が興味深々で覗いていく場所となった。

すると、その穴を見た別グループの4年生が「よし、俺らも!」と掘り始めた。同じような横穴構造で、連日訪れては、せっせと掘り進める。アイディアを取り入れるのがうまいこのグループは、別の子からもヒントを得て、地下室の掘り作業から一転、掘った穴の上に床板を運び、柱を立てて屋根にシートを設置し、「2階建て」の基地を作りあげた。完成後、基地の中でくつろいでお菓子を食べる姿は「家か!?」と突っ込みたくなるほど。

今度は、その様子を見ていた、2年生グループ。6年生の穴と4年生の穴の間に、「隣(4年生)がライバルだ!」と自分たちの穴をせっせと掘りだす。それぞれいい働きっぷりである。

やがて、その様子を見ていた幼児たちが小さなスコップで穴を掘りだす。ちびっこ作業員たちはお兄さんたちを横目でチラチラ見ながら掘り進め、穴の上に板を乗せるまでのものができあがった。

穴掘り一色になった土エリアを眺めながら、穴基地のパイオニア6年生は「やっぱり俺らのがすごいな。深さ、完成度が違う。大人も入れるからな。」と余裕の表情。あそびの“伝染”の発信源となったことが、ちょっと誇らしそうだ。

ひとつのあそびが、次から次へと伝染していく。「教わる」じゃなく「伝染」なのが、ミソ。だから、子どもたちのオリジナリティがどんどん乗っかっていく。それって、一人一人の「やりたい!」ができるこどもの森だから、起こっていることなんじゃないかな。ふと気づくと、1年生が6年生にあそびを伝染させてたりするから、おもしろいんだよな~。

はる
※こどもりもりvol.25(2019年4月発行)に掲載のコラムを、編集のうえ転載しています。

GO TO TOP