遊びながら学ぶ、子ども同士の“作法”

2017年8月3日

「タッチ!」
「オメーは入ってねーだろ!」

勝手に鬼ごっこに入ってきた年長児に、小学4年生が大きな声で言った。
ドキリとして振り返る。が、小さい子はあっけらかんと、
「入―れーて!」
「あ、うん、いいよ」
いいよの“よ”を言い終わる前に、2人は一緒に走り出した。

初対面の子も含めた子どもたちが異年齢で遊んでいる、
というのはこどもの森では珍しい光景ではない。
小学生にもさらに“お兄ちゃん・お姉ちゃん”がいるし、
年長児が“お兄ちゃん・お姉ちゃん”になることもある。

異年齢の子どもたちの遊びを見ていると、ヒヤヒヤするシーンがよくある。
特に、ふたり姉妹の家庭に育った新人プレーリーダーの私は、
男子の激しい言葉や行動にびっくりして、
思わず“大人の基準” で介入しそうになる。
「入れて」や「いいよ」がスッと言える子ばかりじゃない。
「入れてあげたら?」って、
大人がお兄ちゃん・お姉ちゃんに言えば、きっと仲間に入れてはくれる。

でも、大人が何も言わずとも、
子どもはちゃんと“子ども同士の作法”を学ぶのだ、と教えられることは多い。
うまく遊びに加われなかったり、泣かせちゃって気まずくなることもある。
大人からすれば“失敗”に見えるけれど、それも大事な経験なのではないだろうか。

このときだって小学生たちは、
年長児がジャンケンに負けても、彼1人だけを鬼にすることはしなかった。
誰も何も教えていない。
でも彼らは、その方がみんなで楽しく遊べるのだと知っている。
もちろん年長児はそんな配慮などつゆ知らず、
最後までキャッキャッと走り回っていたのだけれど。
遊びながら学ぶとは、きっとこういうことなのだろう。

ぼぶ

※「こどもりもりvol.15」(2017年8月発行)に掲載のコラムを、
編集のうえ転載しています。
(写真はイメージです)

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