子どもと駆け引き、勝っても負けても

2018年3月13日

ある日の午後、ある女の子がバケツで水を運ぼうとしていた。
その側を通ったとき、「ねぇ、これ運んで!」と声をかけられた。

プレーリーダー「え、俺が?なんで?」
女の子「大人でしょ。力あるんだから運んでよ!」
プ「いやー、それ重いんでしょ。運びたくないよ」
女の子「大人げない!やってよ!」
というやりとり。さて、どうしたものか。

プ「これを運んで、何をするの?」
女の子「落とし穴作ってるから、水入れたいのー」
プ「なるほど!それは面白そうじゃないか」
女の子「じゃあ、手伝ってよ!」
プ「むむ、でも俺もあっちで基地作ってるところなんだよ」
女の子「えー、今歩いてただけじゃん」
プ「いやー、白い布があっちに落ちてるからとりに行くところなんだな」
女の子「じゃぁ、私が布とってきたら、その間にバケツ運んでくれる?」
プ「おっ、それならいいよ!やろうぜー!」

その後この子には、何度か手伝いを頼まれた。
でも、「○○がしたいから、△△を手伝って!」と、説明するようになった。
また、「手伝ってくれたら、代わりに□□やるから」と、条件を出してきたり。
さらに、彼女が提示した条件でリーダーがOKしない時は、
「どうしたら手伝ってくれる?」と、こちらの意向を尋ねたり、
自分のしたいことが、どんなに楽しいか?を、アピールしたり。
アピールが上手く、一緒に遊びたくなって手伝ったことも(笑)。

大人は子どもを手伝ってあげるもの、という固定観念がある気がしている。
もちろん、子どもが本当に困っているときは助ける。
でも、大人にもやりたいことや考えがある。
それをすべて飲み込んで、子どもの要求を満たしてあげるのは違うように感じる。
意思のある相手をその気にさせるにはどうしたらいいか?を考えて駆け引きするのも、
けっこう面白いんじゃないかな。

結局、彼女との交渉の結果、何度も手伝うはめになったが、
逆にこちらの遊びに引き込んだのも数回。
こうして互いの遊びを出入りして楽しめたのは、
互いの「やりたい」を尊重し合えたからなように思うのだ。

やーさん

※こどもりもりvol.18(2018年2月発行)に掲載のコラムを、編集のうえ転載しています。

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