たかが日常あそび、されど日常あそび。

2018年8月3日

常連である小学5年生の男の子。
ある日、「はるぅううううううううう!!!!!!」と、
とても熱のこもった声で、私を呼び止める。
見ると、そこには達成感と幸福感に満ち満ちた彼の姿が。
内から湧き出る自信のきらめきオーラを放ちながら彼が手にしていたものは、
ツヤツヤに光る泥だんごだった。

「すごいじゃぁああああん!!!」と同じテンションで言葉を返すと、
彼は「おれ、ここまで光らせたの初めて!こうやって、磨くと~、ほら。
もっと光った!すげー。時間かかったんだー。」
と誇らしげに、初めての光る泥だんごを見せてくれた。
私も嬉しくなって一緒に喜んでいると、
さらに、彼から思いもよらない言葉があった。
「はる、いつもこんなの作ってたんだね!すげぇ!!
今まで『割っていい?』とか言ってほんとごめん。
子どもたちに壊される時もあったりしてさー。
よく泣かなかったよね!禅の心を持ってんの?」
私「?!!」

そう、私は泥だんごを作るのが大好きである。せっせと磨いている。
そして、その泥だんごを目にした子どもから言われる言葉はたいてい
「すげぇ!割っていい?」。
もちろんそこで、えいや!と割られることはないが、
やり取りの間に割れてしまうこともあった。

そんな日常のやり取りを、彼が泥だんごを自ら作ることで思い出し、
さらに相手を理解して思いやるにまで至るなんて!嬉しいオドロキ。

彼は、自分のあそびの幅を広げ、
今までは感じなかった楽しさを発見し、更に新たな自信をつけた。
彼は、日常の細かな出来事を自分でも気づかないうちに実体験を通してつなげ、
心の変化を言葉によって表した。

こんな出来事が「ただあそんでいる」なかで起こる。
素晴らしきかな、日常のあそび。

はる

※こどもりもりvol.21(2018年8月発行)に掲載のコラム編集のうえ転載しています。

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