クギさし大会、それぞれの秘めた想い

2018年10月17日

クギさし。5寸クギを地面に投げて刺し、相手のクギを倒すというシンプルな遊び。お金をかければ強くなるものではなく、また年齢や体格差は関係ない。練習するだけうまくなり、自分の力だけで相手を倒せる。

8月の燃えるような暑さの中、恒例のクギさし大会が開催された。
初参戦の小学1年生。彼は夏休み中、毎日「クギ貸して!!」とやってきた。私が適当に取ってハイと渡したクギでは納得せず、熱心に「いいクギ」を選ぶのが彼の流儀である。緊張の面持ちで練習をしたり、クギをグッと握りしめて木陰で精神統一したりする姿はアスリートのようだ。一方で、「あんなチビが優勝したらクギさし大会の名がすたれる」と、大会の常連で優勝経験もある4年生。言葉は悪いが、彼にだって優勝までのストーリーがある。彼は、開始時刻を気にしながら入り口をチラチラうかがっていた。開始までに強敵が来なければ、自分が優勝する確率がグッと上がるからだ。「あいつら戻ってくるかな。いや……」ブツブツブツ。彼が気にしている強敵とは、中学生たち。朝一度顔を出したが、プールに行くといって姿を消していた。
開始5分前。「はる、クギ出して!」と叫びながら門をくぐる中学生。しっかり、大会に合わせて行動していたのである。たちまち「あー!来ちゃった!!」と笑う4年生。その様子を見て更に緊張が高まる1年生。参戦者が揃った。

結果は、一年生は早々に敗北。4年生も、決勝で惜しくも敗退。小学生のころから続けてきた中学生が優勝した。終了後、一年生の男の子はすぐに練習を始めていた。
みんなのいろんな想いが、はるには見える。
さぁ、来月はどうなる!?

はる

※こどもりもりvol.22(2018年10月発行)に掲載のコラムを、編集のうえ転載しています。

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